ネパールと日本を比較しながら ~高校生が自身の経験を基に~
福井小学校には毎週木曜日、地域のボランティアの方々が読み聞かせに来てくださっています。
その中に一人、島前高校の3年生が加わることがあります。
その高校生は、自身が海外で暮らした経験があります。
海外での生活の後、日本の子ども達(学校)での習慣や考え方の違いに驚きや戸惑いを抱きます。
※その時の様子や、戸惑いがどのようなものだったのかは、下記の記事をご覧ください。
その時の戸惑いを基に、この高校生は「世界には様々な文化があり、様々な習慣・生き方・考え方がある。日本の子ども達にそのことを知ってもらって、『多様性を認め合う』という考えを少しでも持ってもらいたい。」という想いから読み聞かせに参加してくれています。
そして、高校生のその想いは「授業を通して伝えたい。」という考えにつながります。
高校生は、その考えを校長に伝えます。
校長は高校生に、「それなら担任の先生方にその想いを伝えてみよう。受け取ってくれる先生がいたら、その学年で授業をしてもらうといい。」とい話します。
高校生はどうしたか…。
その後、高校生は担任の先生方に自分の想いを伝えました。
想いだけでなく、ある程度の授業のプランも一緒に話をしました。
すると、「やってみてもいいのではないか。」という学年が二つありました。
それは、1年生と6年生でした。
高校生の想いが伝わったわけです。
その後、高校生は二つの学年の先生と打ち合わせを行います。
高校生は、事前に先生方から「準備してみてほしい。」と言われたものをきちんと準備して打ち合わせに来たそうです。
お陰で、打ち合わせもスムーズに進み、いよいよ本番の授業となりました。
1年生も、6年生も授業の設計はほぼ同じように組まれていました。
高校生が生活したネパールの生活や習慣についてクイズが出されます。
子ども達はクイズを楽しみながら、考えます。
高校生は繰り返し、子ども達に伝えます(聞きます)。
1年生には、「日本とネパールの同じところと違うところはどこかな。」「ここは同じかな。」「ここは違うかな。」
6年生には、「日本とネパールとの比較を通して、自分の考えを広げてほしい。」
ちなみに、クイズは次のものでした。
①ネパールの人達は、ご飯を食べる前に手を洗うかどうか。
②ネパールの子ども達は、学校によく遅刻するかどうか。
③ネパールの人達は、早寝早起きかどうか。
④ネパールの子ども達は学校に行く際、制服を着るかどうか。
⑤ネパールの子ども達は、軽い風邪でも学校に行くかどうか。
クイズの答えは次の通りです。
子ども達は、『答えの理由』に驚いたり、納得したりしていました。
①手を洗う。ネパールの人達は手でご飯を食べるから。
②よく遅刻する。登校前に、家の手伝いをしているから。家から学校の距離が遠いから。先生はそのこと知っているから子ども達が遅刻しても叱らない。
③早寝早起きである。ネパールには電気がなく、太陽の光で生活しているから。
④制服を着る。制服は家の人が作ってくれるのもで、一人ひとりが違う制服を着ている。
⑤軽い風邪だと学校を休む。家の近くに病院がなく、簡単に薬が手に入らないから。重症化しないように早めに休んで治す。
1時間の授業で、子ども達はいろいろなことを考えていました。
6年生の子どもの感想を紹介します。
〔感想より〕
クイズをして、ネパールと日本との違う食べ方やルールをたくさん知ることができてよかったです。
私は、ネパールがどこか知りませんでした。
日本のお寺は木などを使っていますが、ネパールのお寺は金色でごうかな感じがしたし、一本道に10くらいのお寺が並んでいるということを知って、ネパールにとってお寺は必要だということが分かりました。
家もカラフルで、ネパールは楽しそうな街だと思いました。
どの子どもの感想も、ネパールと日本の違いを知って、「ああそうなんだ。」と受け入れているように見えました。
小学生にとって、大切なことを感じさせていただいた授業となりました。