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島の小学校の遠足は、どこへ行く?【福井小学校:春の遠足】

 6月に入り、雨空が顔を覗かせるかと思いきや海士町はそんなことお構いなしのように、気持ちのいい青空の日が続いています。福井小学校に勤務して早1ヶ月、通勤時に諏訪湾を自転車で通っていますが、山の緑と海の青の配色がとても綺麗です。この景色も新鮮な景色から日常に溶け込む景色へと変わってきました。

福井小学校の目の前に広がる諏訪湾

 さて福井小学校では5月20日(金)に春の遠足が行われました。春の遠足では、1・2年生が海士町の金光寺に、3・4年生が西ノ島町の国賀海岸に、5・6年生が知夫村の赤ハゲ山へと、それぞれ島前3島に別れて行きました。
 今回は5・6年生の知夫村での遠足をお伝えしていきます。知夫村の赤ハゲ山に向かい、どんなことをしたのか、どんなことがあったのか。子どもたちの様子、島の小学校ならではの遠足、そして自然いっぱいに広がる知夫村の良さが少しでも伝わると嬉しいです。


【8:00】 遠足のはじまり〜諏訪湾から出発〜

 少し曇り空のなか、今回遠足で向かう知夫村へは船で向かうため、子どもたちは諏訪湾に集合していました。朝から買ったおやつの話やどんなお弁当を作ってもらったなどの話など、これから始まる遠足の期待感に胸膨らませている表情が見てとれました。全員が集合しているのを確認し、出発前に先生から「遠足であって、遊びに行くんじゃないよ。」「みんなで歩いてチームワークを高めよう。」「しっかりと地域の人に挨拶をしよう。」とお話がありました。船の運転手さんにしっかりと「お願いします!」と挨拶をした後は船に乗り込み、知夫村を目指します。

遠足のはじまりは諏訪湾に集合

【8:55】 知夫村に到着〜人口よりもたぬきが多い島?〜

 船に乗り込み、時折大きな波に揺らされること40分ほど。ついに知夫村に到着しました。知夫村は島前にある3島のうちで、一番人口が少ない600人ほどの島です。(真偽の程はわかりませんが、人よりもたぬきが多い島とも言われています。)知夫村には国の天然記念物であり、約1kmにわたる赤褐色の岩肌の断崖が特徴の赤壁、標高325mの山頂から島前の景色を眺めることができる赤ハゲ山など、360℃大絶景に囲まれた雄大な自然が広がる島です。今回の遠足で目指すのは、赤ハゲ山展望台です。

青印が福井小学校 今回は赤ハゲ山へと向かいます。

【9:15】 歩いて目指せ赤ハゲ山展望台〜野苺と牛とひたすら続く坂道の先に〜

 知夫村に到着後は、知夫小中学校に向かいお手洗いと、赤ハゲ山展望台を目指す途中で休憩するポイントの3箇所が発表がされました。知夫小中学校の校長先生にしっかりとお礼の挨拶をしてから、いよいよ赤ハゲ山展望台を目指して歩き始めます。

牛。

 赤ハゲ山展望台を目指す道は山の中の坂道が続きますが、子どもたちは野苺を摘んだ数や大きさを競い合いあったり、放牧されている牛に声を掛けたりと、そこに広がる自然と風景を楽しみながら和気あいあいと登り続けます。もちろん道中で出会う島民の方への挨拶も欠かしません。

道中には美味しそうな野苺が実っていました。

 しかし、坂道を歩き続けていく中で、だんだんと足取りも重たくなってくる子どもたちもちらほらと出始めました。それでも先生に励まされたり、子どもたち同士で声を掛け合ったりしながらひたすら続く坂道を登っていきます。そしてついに、目の前に赤ハゲ山展望台が目に見えるところに…

【12:00】 到着!赤ハゲ山展望台〜強風の中の凧揚げ〜

 ひたすら続く坂道を登り続けること約3時間。ついに全員が赤ハゲ山展望台に辿り着きました。赤ハゲ山展望台から眺める景色は、ここまで登ってきた疲れが吹き飛ぶくらいに隠岐島前の壮大な自然を感じることができます。

展望台からの景色。最後の子どもたちもついに到着

 展望台に到着後は、お待ちかねのお弁当の時間です。持ってきたお弁当を広げると、そこには色とりどりでバラエティ豊かなお弁当が広がっていました。(もちろんお菓子もしっかりと)みんながお弁当を美味しそうに頬張る顔を見ていると、とてもほっこりとしてきます。お弁当、おやつを食べ終えてからは凧揚げや、先生VS子どもの鬼ごっこもして、展望台でも目まぐるしく走り回り楽しい時間を過ごしました。この日は風が強く、子どもたちも凧を上手く上げることになかなか苦戦しているようでしたが、それでも凧が高く空に上がると子どもたちも歓声を上げていました。

強風の中の凧揚げ

【13:00】 下山から船で諏訪湾へ〜帰りのバス時間に間に合う?〜

 展望台での楽しい時間を過ごし、いよいよ下山する時間となりました。もちろん帰りも歩いて下山して行きます。帰り道は下りが続くため登りより楽だと思ったのですが、これまでの山登り、展望台で遊び回った疲れもあり、足が重たくしんどいものでした。子どもたちも疲れが見える様子で、帰路は途中バスに乗り船が出る来居港まで向かうのですが、そのバスの出発時刻が着々と迫っていました。最後尾にいた子どもたちは、疲れがあるなか最後の力を振り絞り走ってなんとかバスに間に合うことができました。全員がバスに乗っていることを確認後、船が待っている来居港まで向かい諏訪湾へと帰ります。いよいよ楽しかった遠足も終わりが近づいてきました。

もちろん帰りも歩いて帰ります。

【15:10】 遠足の終わり〜歩いた歩数と距離はいったい〜

 行きと同じく船で帰ること約40分、全員大きな怪我やトラブルもなく諏訪湾に無事帰ってくることができました。(帰りの船では疲れがあったようで、寝ている子もちらほら)知夫村への遠足は大人もヘトヘトになるほど、とにかく歩きに歩きました。実際にこの日に歩いた歩数はなんと21,937歩、その距離18,9kmでした。普段は校庭で元気いっぱいに遊んでいる子どもたちですが、なかなかこの距離を1日で歩くこともないのではないでしょうか。子どもたちは疲れた表情の中にも、やりきった清々しさがありました。全員が帰ってきていることが確認でき、終わりの挨拶をして無事に春の遠足は終わりました。

iPhoneの歩数計より。

さいごに

 今回は5・6年生の遠足を中心にお伝えしてきましたが、1・2年生の海士町の金光寺、3・4年生の西ノ島の国賀海岸ともに隠岐島前の自然の魅力を友達とともにたっぷりと堪能できたようです。5・6年生の遠足に一緒に参加してみて、一歩づつ展望台を目指し、協力し合いながら歩く子どもたちの姿は、たくましく微笑ましいものでした。遠足は友達との楽しい会話や遊びももちろんですが、自分の足で歩いて、そこに広がる山や海の景色、そよぐ風、生えている植物、放牧されている牛など、そこにある自然を見ること、聞くこと、島前の雄大な自然を余すことなく体感できること。これこそが島ならではの遠足なのではないでしょうか。子どもたちにとっても今日この日がいい思い出になっていることだと思います。

 今回のnoteは少し長くなってしまいましたが、読んでいただいた方に福井小学校の遠足のこと、子どもたちの様子や、島の遠足がどんなものなのか。少しでも伝わっていると嬉しいです。最後まで読んでいただきありがとうございました。次回の更新もお楽しみにください。